by Brooklyn Sep 29,2025
ジェームズ・キャメロン監督のSF大作『アビス』が、動物実験をめぐる論争のあるシーンを含むため、英国のDisney+から削除されました。
1989年のオリジナル版には、フッ素系液体に浸された生きたラットの映像が含まれていました。制作記録ではこの齧歯類が生存したとされていますが、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)をはじめとする動物保護団体の働きかけにより、数十年前にこのシーンは削除されています。
英国のBBFC(映像分類委員会)は、1937年制定の映画法(動物保護条項)と1984年制定のビデオ録画法に基づき、劇場上映版と家庭用メディア版の両方でこのシーンのカットを義務付けました。このシーンは現在も英国の従来型メディア全てで禁止されています。
Disney+は2024年4月に同作品を配信開始した際、誤って検閲前バージョンを掲載してしまい、即座に批判を浴びました。RSPCAはこれを規制の抜け穴と指摘し、ストリーミングサービスが現行の動物虐待コンテンツ規制の対象外である状況を問題視しています。
RSPCA広報部長のデイビッド・ボウルズ氏は「他のメディアで禁止されている内容を合法的に配信できる現状に懸念を抱いています。『アビス』の芸術的価値は理解していますが、動物の苦痛を描写することは現代の倫理基準に反します」とコメントしました。
同団体は検閲を求めているのではなく一貫した保護を求めていると強調:「コンテンツ禁止が目的ではありません。単に全てのメディア形式で同等の保護措置を適用してほしいのです」
批判を受けて、Disneyは英国版プラットフォームから完全に作品を削除しました。ボウルズ氏は立場を明確に:「問題のシーンを英国基準通り編集した上でなら、作品の再掲載を歓迎します」
この出来事は、ストリーミングが主流となる現代における法整備の遅れを浮き彫りにしています。ボウルズ氏は「動物と観客の両方を適切に保護するためには、視聴習慣の変化に合わせて法律も進化する必要があります」と付け加えました。
Disneyは現時点で、『アビス』が英国のストリーミングサービスに再び登場する時期(あるいは再登場するかどうか)について発表していません。